家庭では日々多くの電力が消費されている。家庭内で省エネを心がけることは、脱炭素のためにも重要な試みだ。また、省エネを実践に移すことによって節約につながるというメリットもある。
ここでは、「カーボンアクション30」でも触れられている省エネ家電の選び方・脱炭素につながる使い方を紹介する。
省エネ家電を導入するメリット
まずは省エネ家電を導入することで各家庭が享受できるメリットについて確認しておこう。
省エネ家電は単なる電気代の節約だけでなく、環境負荷の軽減とも密接に関係している。
環境負荷の少ない生活が実現できる
2020年度の家庭部門からのCO2排出量は約1億6,838万(※1)、1世帯当たりの年間CO2排出量は、2.88 t-CO2であり、前年度から5.9%増加した。このうち、家電製品の使用によるCO2排出量の割合は47.6%となっており、脱炭素社会の実現のためには家電製品を見直すことが重要になってくる。「一般財団法人 家電製品協会」(※2)によると、冷蔵庫や照明器具、テレビ、エアコン、温水洗浄便座などを省エネ家電に買い替えることで、年間約484kWh、222kgのCO2が削減できるという。家電製品は1つひとつの消費電力は大きくないが、それらがまとまると多大な電力を消費し、CO2を排出していることになる。そのため、古い製品をいくつか省エネ家電に買い替えるだけでCO2排出量を抑制できるのだ。
電気料金を節約できる
省エネ家電に買い替えることで、年間の電気料金を節約できる。例えば、2010年頃の冷蔵庫に比べ、最新の省エネ冷蔵庫は年間電気代を5,000円以上節約できる可能性がある。また、照明器具を白熱電球から電球形LEDランプに買い替えれば、年間電気代を約2,500円節約できる。省エネ家電を上手に使うことで、環境に負担をかけない暮らしが送れるだけでなく、数年で元を取ることも可能なのだ。
最新機能を使える
また、省エネ家電に買い替えることで、家電の最新機能を使うことができる。特に冷蔵庫など家電は進化が目覚ましく、食料品の鮮度保存などで恩恵を受けられ、回り回ってフードロスの削減につながる可能性がある 。家電はQOL(Quality of Life:生活の質)を向上させるためにも重要な要素だ。省エネ家電を選ぶ際は、環境負荷や節電だけでなく、製品そのものの性能にもこだわってみてもいいかもしれない。
かしこい省エネ家電の選び方・脱炭素につながる使い方
省エネ家電にはそれぞれ選び方・使い方にコツがある。上手に省エネ家電を利用し、環境にも家計にも優しい生活を送ろう。
冷蔵庫
冷蔵庫は利用人数によって適切な容量が変わる。「一般社団法人日本電機工業会」が公表している「冷蔵庫目安容量計算式」によると、各家庭の最適な冷蔵庫の容量は次のとおりだ。
『容量=(70L×家族の人数)+(常備品容量[120L~170L])+(予備スペース[100L])』
例えば、4人家族なら500L~550L程度の冷蔵庫が最適な容量となる。冷蔵庫の設置には放熱のためのスペースが必要だ。冷蔵庫と周囲の壁や家電製品の距離は少し離し、効率良く冷蔵できるようにしておこう。
エアコン
最新のエアコンでは、高性能センサーやエリア空調機能によって効率良く部屋の温度を調整してくれる。また、暖房時は湿度を高めに設定することで体感温度を上げてくれるため、冬は20℃を目安に上手に湿度調整をしてみよう。エアコンの冷暖房の効率性は、フィルターの状態によって大きく変化する。2週間に1度は、フィルターのゴミやほこりを水で洗い流そう。
照明器 具
家庭で使用している照明器具が蛍光灯シーリングライトなら、LEDシーリングライトに買い替えることで電力消費を抑えられる。また、人感センサーが搭載されているライトであれば、人が部屋にいないときに小まめに節電ができ、省エネにも役立つ。
洗濯機・洗濯乾燥機・衣類乾燥機
洗濯機・洗濯乾燥機・衣類乾燥機は容量が大きいほど電力の消費量も大きくなるため、家族の人数に合わせて最適なものを選んだ方がいいと言われている。これらの家電製品を効率良く使うためには、一度にまとめて洗濯や乾燥をし、年間の消費電力を抑える工夫が必要だ。また、乾燥している時期に自然乾燥と併用することや、フィルターの小まめな掃除により余計な電力消費を抑えられる。
掃除機
「エコモード」は床面の種類や掃除動作に応じて自動的に吸引力を調整し、省エネ運転につなげることができる機能だ。最新の掃除機にはこれらの機能が搭載されている製品も増えたため、買い替えの際は参考にしてほしい。また、掃除機をかける前に部屋をある程度掃除しておくことで、必要最低限の運転で効率良く床を掃除できる。最後に、掃除機のダストカップや紙パックは小まめに掃除しておこう。これらの掃除を怠ると、吸引力が落ち、無駄な電力消費の原因になる。
<脚注>
※1 JCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター
https://www.jccca.org/download/65499
※2 一般財団法人家電製品協会 省エネ家電 de ス マートライフより
https://shouene-kaden2.net/try/sim_eco_perf/freezer.html